戸田山和久『論理学をつくる』
名古屋大学出版会
私が『論理学をつくる』で論理学の勉強をする。とりあえず読みはじめたところ、冒頭にいきなり素晴らしい記述があった。
日本語には連濁という現象がある。例えば、「小屋(こや)」という語の頭に修飾語をつけて、例えば「山小屋」にすると、「やまごや」という具合に下の語が濁る。(…)しかし、「きつね」+「そば」は「きつねぞば」にならないし、「ファミコン」+「通信」は「ふぁみこんづうしんにならない」(吉田戦車氏の指摘による)。
これは...! 『ゴッドボンボン』ではないか。
※参考
『ゴッドボンボン』p55
私は以前からこのネタが大好きだったので、戸田山和久氏もこの四コマが好きだと知ることができて大変うれしい。論理学をはじめて本当によかった。
また、必要なときに『ゴッドボンボン』を引用することができたので大変うれしい。スキャナーを買って本当によかった。
戸田山氏はつづけてこう言った。
我々は連濁するかしないかを判定するに当たって、何らかの規則に従っているらしい。そして初めてのケースにもその規則をあてはめているに違いない。しかも、この規則は、日本語の話し手であればおおむね共有しているはずだ。しかし、自分が従っているその規則をきちんと取り出して述べることのできる人はいるだろうか。
吉田戦車が天才であるゆえんは、このように、暗黙の規則を見事に取り出してみせる点にあるのだと思う。
例えば、
- アリは群生する
- 蜂は群生する
ならば「妻」が群生してもいいはずだ。
(火星妻は、アリや蜂のように群生する。『火星ルンバ』参照)
「妻」と「群生」を結びつける飛躍は単純にすごいなと思う。
こんな風に、吉田戦車の発想はよく「どうしてこの語とこの語は結びつかないのか」というところに向かう。哲学者のする概念分析に近く思えることもある。
川崎ぶら、吉田戦車『たのもしき日本語』
この本は言語分析家、概念分析家としての吉田戦車がかいま見られる本だった。
「モテる」の用法を分析する吉田。
吉田●動詞ではなく、状態を表している形容動詞的な語だから活用法が違うのかも知らんな。「昨日9時から10時半までモテた」などとはあまり言わないし、ツッパリが因縁つける際に「モテてんじゃねーよ」などとは言わないのさ。
慧眼だと思う。確かこういうのをアスペクト分析とか言うんだった気がする。
検索していたらこんなサイトを発見した。
調査の頁にこんな記述があった。
動詞は内在アスペクトによって
- 状態(state)
- 動作(activity)
- 達成(achievement)
- 完成(accomplishment)
の四種類のいずれかに分類されます。
「昨日9時から10時半まで~した」という言い方が可能なのは、動作動詞?だろうか。「モテる」は状態動詞なのでこういう言い方はしない、ということなのだと思う。
ところでまったく関係ないが、この調査は「北海道方言の「動詞+ラサル」についての調査」らしい。
そう言えば中学生の頃、古文の「自発」の助動詞を学んだとき、先生が、北海道弁の「~らさる」が自発の助動詞なのだと教えてくれた。
例:「ウニいくらでも食べささる」
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私もその部分を読んで
「論理学をつくる」を買ったのだった。
素晴らしいですよね。
』 (2007/01/11 19:42)実に、すばらしい。
』 (2007/01/12 2:15)お陰で吉田戦車の天才について改めて認識できたよ。
b7qhXO
』 (2009/07/14 19:22)b7qhXO
』 (2009/07/14 19:23)