読んだ

宇宙の戦士

宇宙の戦士

ロバート・A・ハインライン(著), 矢野徹(著)

早川書房、1979


わたしによるわたしのための1人企画「ヒューゴー賞受賞作を年代順に読むよ」。

しばらく忙しかったので長らく忘れてましたが、再開しました。


「宇宙の戦士」はガンダムなどいわゆるリアルロボットものの元祖と言われる作品で、映画スターシップ・トゥルーパーズの原作でもある。

発表されたときは、これはファシズム肯定の小説じゃないかと随分議論もあったらしいが、その辺りの論争事情は本書の巻末で丁寧に紹介されている。

個人的には大変楽しく読めた。確かに「僕の考えた理想の戦争」みたいな内容ではあるものの、別のオーディオに興味が無くても「オーディオマニアが考えた理想のオーディオ環境」をおもしろいと思うように、あるいはインテリアに興味が無くても「インテリアマニアが考えた理想の家」をおもしろいと思うように、理想の戦争の話もおもしろい。

もっともわたしは気質的にファシストを見ると萌える傾向にあるので、そのためにおもしろく読めた部分もある。

とはいえ、単にファシストと切り捨てるには勿体ない印象深いセリフがいろいろと出てくる小説であったことだよ。


たとえば「戦争」について。

「たったひとりの教授タイプの男が、ただボタンを押すだけで、より以上の効果があげられるという時代に、時代遅れの武器を持った大勢の兵隊たちが自分の生命を危険にさらすということに、どういう利点があるのでありますか?」

(...)

「いいか、もしおまえが赤ん坊をしかろうと思ったら、そいつの首をはねてしまうか?」

「えっ......とんでもありません、軍曹どの!」

「もちろん、そんなことはせんだろう。ピシャリとたたきつけるだろうな。敵国の都市を水爆で攻撃するなんてことは、赤ん坊の頭を斧でたたっ切るのと同じように、実に馬鹿げたことだというような事情のときもあるんだ。戦争とはそう単純な暴力と殺戮ではない。戦争とは、目的を達成するための、抑制できる暴力なんだ。戦争の目的とは、政府の決定したことを力によって支持することだ。その目的は、決して殺すためだけのために敵を殺すことではなく、こちらがさせたいと思っていることを相手にさせることだ。殺戮ではなく......抑制され、目的を持った暴力なのだ。」

「投票」について。

「投票するということは、権威を使用することである。これは最高の権力ともいうべきもので、ほかのあらゆる権力はここから発生する......

(...)

いうなれば、それは暴力なのだ! 公民権は力である......裸であり、生の<棍棒と斧>なのだ。よしんばこれが、十人の男によって使われようと、あるいは十億人によって使われようと、いずれにせよ、政治的権力というものは、力なのである......」

若者を投票に行かせようと思ったら「投票は市民の義務です」なんて言わずに「投票は棍棒と斧なのだ!」などと叫ぶと良いのではないか。




本企画について

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コメント(1)

# sandra

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(2008/06/ 4 21:04)

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