- 『万物理論』
グレッグ・イーガン (著), 山岸 真 (翻訳)
創元SF文庫(東京創元社)、2004
前半がタルくて、ずいぶん長く読んでいた。ネッド・ランダース、結局話にからまないし、必要なのか、この前半の展開?という気はしないでもない。
前半もネッド・ランダーズやバイオネタなど、多少ネタはつめこまれていたが、やはり大ネタであるAC(人間宇宙論)の正体が明らかになった辺りから楽しくなり、後半は一気に読んだ。
おもしろいポイントはいろいろあると思うが、あまりまとまらないので断片的に。
- 山形浩生氏が帯かなんかで書いているように未来の政治体や倫理観に対する想像力、という楽しみ方は1つあるんだろう。
- しかし中心となるネタはやはり人間宇宙論。情報科学と主観的宇宙ネタ。
- というかこれ、ラノベっぽいガジェットが出てこないだけで普通にセカイ系だなあ。
- ハリウッドというか、アメリカのエンターテイメントの方法論で描かれたセカイ系という感じはする。
- 人生における敗北感、離婚、自信の喪失、危機につぐ危機、新しい出会い、勇気を出して一歩を踏み出す主人公、プロフェッショナルとしての自覚とそれまでのキャリアに裏打ちされた自己の確立。
- ハルヒは何でサイバーパンク(というか情報科学ネタ)なんだろうというのは、長らくわたしにとっての謎であるが、イーガン(またはイーガン人気)は一役買ってそうだなあ。
- わたしはテクノ解放主義者です。
最後の不当な国境線の消去とともに自由の地図が
完成されるというのは真実ではない
われわれにはまだ雷のアトラクタをチャート化し
干魃の非周期性を図示することが
一千の人間の言語並みに豊かな
森林やサヴァンナの分子レベルの方言を解明することが
そして神話を超えた太古からわれわれの情熱の最深部にある歴史を認識することが
残されているのだから
- バイオテクノロジーと特許簒奪によるアナキスト政治体ステートレスはかっこいい。
- 「必要なのは科学ジャーナリストなんだ」の辺りで結構ホロリときた。
- 最後はグラン・ローヴァ物語と同じ型のオチだなあと思う。「みんながグラン・ローヴァなんだ!」「みんなが万物理論(TOE)なんだ!」。
- グラン・ローヴァ物語 - Wikipedia
- このタイプのオチに適切な名前をつけたい。
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「ユニバーサルセオリー」と聞くと ついこの本のほうを思い出してしまうのは私だけでしょうか。
』 (2008/08/10 3:32)#こっちのタイトルは「なんでも理論」ではありますが。
あ、でもこの本、原題"Distress"なんですよね、たぶん。
』 (2008/08/10 4:03)「万物理論」の方はたぶんTheory Of Everythingの直訳で、もちろん作中にも出てきますが(そしてディストレスじゃ意味がわからないので、この邦題にすることに特に疑問はないですが)。
しかし、普遍理論より、万物理論の方がかっこいいと思ってしまうなあ。